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短編の小説

小説「廃墟の植物園で僕にあった事」

ツイッターで流行っている占い?の、変形、恋愛三題お題ったー。
野梨原花南さんがやってらっしゃって、勧められたので自分もしました。で出てきたのはこれ。
@youko_eさんは、「深夜の廃墟」で登場人物が「疑う」、「鳥」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://bit.ly/anw4VW

というわけで考えて書いてみました。140文字ずつ14回に分けてツイッターにも流した第一部を掲載。
長いので続きから読む形式です。

******************************************


 僕が十歳の時。
 夏休みに行った母の田舎で道に迷って、一晩野外で過ごした事がある。
 野外ってか不況で閉鎖された植物園跡。雨が降ってきて、夕方からそこに潜り込んで……そのまま眠っちゃったんだ。だれか探しに来てくれたかもだけど、目が覚めたらもう真っ暗だった。

 真っ暗だ、どうしようって起きたら、身体から白い布が落ちた。薄くて細長くて、女の人が肩にかけるやつだった。手に持つとふわっといい匂いがした。だれが掛けてくれたのかは、すぐに分かった。
「起きたの? おはよ」

 白いワンピースを着たお姉さんが声をかけてきた。色が白くて長い髪で、ピンク色の唇で、大きな目が僕を見てニッコリ笑った。
「身体揺すっても起きなかったよ。よっぽど疲れてたのかな」
 僕がぽかんとしてたら、お姉さんは積み重なったテーブルの上から身軽に降りてきた。

「地元の子? 帰り道分かる?」
「ううん。ここママの田舎。山に来たら道分かんなくて迷ったんだ」
「そう……だったら明るくなるまで待った方がいいね」
 屈んで話しかけるお姉さん。肩掛けと同じいい匂いがした。
「あそこ何が見えるの?」
 お姉さんがいた場所を指さして聞いた。

 丸いテーブルが何段も積み重なっててゲームで見たピラミッドみたいだった。
「空が見えるの。カフェの真上だけ天井がガラスだったみたい。登ってみる? 星がいっぱいでプラネタリウムみたいよ」
 僕は疑った。そんな夜空、今まで見た事なかったから。

 それでもお姉さんにひっぱってもらってテーブルを登った。ぐらぐらしてて怖かったけど、お姉さんは平気みたいだったから僕も平気な顔をした。お姉さんがそこに座って、上、上、って指さすから僕は上を見上げて。
「うわあ……」
 すごかった。生まれて初めて本物の満天の星を見た。

 夜空はキラキラと輝く星に埋め尽くされてて、落っこちてきそうだった。じっと見てると、スーッと光る線が見えた。
「流れ星! 見えた?」
 お姉さんが大きな声で言った。
「うん見えたよ!」
「知ってる? お盆の時期の流れ星はね、死んだ人の魂が会いに来たことなんだって」

「それ僕のママも言ってたよ。ひいじいちゃんが死んだ時、夢に会いに来るって」
「……だったらその人のお墓参りで来たのね」
「うん。それともう一人、若いのに死んだ人がいるって、ママが電話でお祖母ちゃんと話してた」
 僕がそう言うと、お姉さんはじっと僕を見た。
「会った事ある?」

「うんと小さい時にあるって。僕覚えてないけど。あっ、また流れ星だよ!」
「今年たくさん見えるのね」
「じゃ、たくさん会えるのかな。ひいじいちゃんも会いたいけど、ママももう一人の人の事悲しい顔してたし」
「会えるわよ。きっと」
 星空を見あげながら言うお姉さん。

 僕は気がついてそっと言った。
「お姉さんも会えるといいね」
 お姉さんは笑った。泣きそうな顔で「ありがとう……」って僕をぎゅっと抱きしめて。その後もずっと話しながら星空を見てたけど、東の空が明るくなる頃、僕はまた眠くなってきてウトウトしだした。

 お姉さんと下に降りて、一緒に床に寝転がったとこまでは覚えてて…………。
 目が覚めると一人きりだった。
 探してもお姉さんはいなくて、ただ僕の寝てた隣りに白い鳥の羽が落ちてて、ピラミッドの上からその鳥が飛んでいくところだった。
 それ以来お姉さんに会う事はなかった。

 ……本当のことを言うと、違う。
 僕は次の日にお姉さんに会った。
 翌日、連れて行かれた親戚の家の、盆棚の写真の中で。
 まだ高校生なのに今年の春、病気で亡くなってた。僕はすんなり理解した。お姉さんは幽霊だったんだ。そう分かっても不思議と怖くなかった。

 お坊さんのお経が始まって、親族席にお姉さんの家族が座った。僕と同い年位の女の子もいて、泣きはらした真っ赤な目をしてた。僕もママの真似して盆棚に手を合わせた。
 白いワンピースを着て写真の中で笑ってるお姉さんを見て、昨日一緒にいてくれてありがとうって……。

 心の中で言って、僕は少しだけ泣いた。
 ――この話はこれでお終い。
 そうなるはずだったし実際僕も忘れかけてた。
 8年後の今年、母の田舎に帰るまでは。

 @@第一部ここで終了。

 続きは今夜ツイッターで流して、明日ブログにアップ、したいです。
 仕事の合間なので出来なかったらごめん。
  • 2010.08.05 Thursday
  • 15:10

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